悩める衣服とコロナとお片づけ 〜 かたづけの現場からあなたへ #01

先日、お客さまのお宅で衣替えをしたときのこと。
夏物を仕舞い、秋物と薄手の冬物を出しながら、お客さまが首をかしげていらっしゃったのに気づきまして。

クリーニングのタグが外れていない夏物がたくさん…
秋物もずいぶん着てないものがあるし…
と、お客様、おっしゃる。

足の踏み場のなかった一部屋まるごとウォークインクローゼットから、4年以上の長いお付き合いになるお客さまです。
置き場所を決める基本的な整理収納にはじまり、季節の衣替えと関わらせていただいてきたので、もしかすると主人が自身で管理・衣替えしている出番のない服より、よっぽど見知っているウォークインクローゼットといえるかもしれません。

特にクリーニングのタグが外れていない衣類が、よそゆきや、ちょっとしたお出かけ着の中でもクリーニングが必要な衣類だとすぐに気づけたのには、そんな理由がありました。

最後に来た日を覚えていない衣類たち。
持っていることすら忘れていた衣類たち。
ずっとクリーニングのタグが外れていない衣類たち。

着ていない、たくさんの衣類たち。
みなさんのクローゼット、押入れ、引き出しに、特に今年はたくさん心当たりがあるんじゃないでしょうか。

この“衣料品の停滞”ともいえる状況、みなさんもすぐに気づかれたと思うのですが、新型コロナウイルス流行による緊急事態宣言と、それに伴う外出自粛の影響です。

コロナで旅行も、友達とのお茶の時間も、飲み会も、全ての外出が激減。
旅行の1日目にどんな服を着て行こうか、着替えは何にしようかとワクワクしながら旅行カバンに詰めた時間が恋しくて恋しくて、わたし、もう心の中で散々泣いてます。

2020年夏、2021年夏と2シーズン、出番を失った私のよそ行きのおしゃれ夏物ワンピース。早くそれ着て娘と資生堂パーラーでクリームソーダが飲みにとっても連れて行ってあげたい。きっと大喜びする。
2019 – 2020年冬シーズンに片手で数えるだけしか着なかった厚手のよそゆきセーターは、前シーズンに一回も着れず。最後に着たのは大学の茶道部の同期が上京したときに、お茶をしにホテルのラウンジに行った時。

非日常の全てを、コロナがあっさりと奪っていったのが悔しくてたまらない。
個人的には今まで罹患せずにいられたのはとても幸運だったけれど、当たり前に続くと疑いもなく思っていた私たちの日常が、特別な時間たちが、思いもかけない方向から消され上書きされてしまったのも事実です。

その消され上書きされた現実を、日々たくさんの形で片付けの現場で目にします。
特に衣類のお片づけをするときは決して表情には出しませんが、切ない想いを抱えながら衣類を手に、明日もまたお客さまとともに葛藤と向き合い続けます。

余談ですが、年に2回程度、3時間コースで定期的にご依頼いただくお客さま方がいらっしゃるのです。衣類の大整理をして最短時間で衣替えができるように仕組みを作ったあと、春の終わりと夏の終わりの衣替えの季節にお声がかかるのです。

最初に仕組みを整えることで、ご一緒に作業したり、リモートワークの傍らで作業したり、依頼方法の可能性が広がるんですよ。買い足した量やその季節の気分、ライフスタイルに合わせて片付けの手順・手法をアレンジしながら、快適な暮らしづくりのお手伝いしています。

もし衣類のお片づけにご興味があれば、まずはお気軽にフォーム(筆者のお片づけサービス)からご相談ください。

新型コロナの今、自分で衣類を片付けてみたいあなたへのアドバイス

全く着ることのなかった衣類が多くのご家庭に眠り、片付けようにも「アフターコロナでまた着るかもしれない」と持ち続けるしかない状況がまだ続きそうですね。

来シーズンまでのおよそ3年間、長すぎて痺れ切らしちゃいますよね。
なんとか我慢してますけど、いいかげんに終息してくれないかなぁ…。

そんなイライラした今。
片付けしてスッキリ快適に暮らしたいよー!という気になるの、すっごくよくわかります。
要不要の判断が難しい時期だけれど、どうにもこうにも衣類が気になって仕方がない、という方も多いはず。

見直しをすると良いな、というのはこんな人

  • リモートワークがアフターコロナも続きそうな方
  • 転職、結婚、出産などでライフスタイル・ライフステージが変わった方
  • 転居の予定がある方

そして、コロナの今だからこそ、特に自分で整理して行き詰まったら思い出してほしいポイントをざっくりいくつか挙げておきますね。

Point1:勝負は来年にしたっていい

外でのんびりし辛くてストレス溜まっているから、スッキリさっぱりしたいのもわかります。

ただ、勢いにまかせてクローゼットをスッカラカンにしてしまわないように!
というのも、来年の状況がどうなるのか、まだ見通しは不透明ですよね。

たくさん手放す快感は満足感を与えてはくれますが、考えてみてください、収納の中に収まっている程度で、気分以外の具体的な生活に何か問題があるでしょうか

クローゼットの中に余白をたっぷり作ること、着古して満足感を得ること、どちらがあなたの理想やポリシーに合った自分の行動ですか?

アフターコロナがひと段落し、あともうちょっとしっかり着てしまいたいを実現した後、クローゼットの余白を作ったって決して遅くはないと断言しますよ。

Point2:よそ行きから部屋着にするのはアリ?ナシ?

でもまぁ、今のうちにやれることはやっておきたいな、という声が聞こえます。
幻聴じゃないはず。このコロナ禍の間に作業して何度も聞いたセリフだもの。

それならば、できる限り使う方向へシフトしてみるのはいかがでしょう。
そうすればクローゼットに余白が生まれる日の前倒しです。

ここで質問です。
家の中で毛玉だらけのボロボロのジャージでダラダラ過ごすのと、ジムへ行くために買ったはいいが入会タイミングを逃しつづて塩漬けになっている新品ジャージ、あなたはどちらの方がテンションが上がりますか?

たいてい、後者ですよね。そうよねー。そういうことにしようよ。

まぁね、家の毛玉だらけのボロボロのジャージがゆるっとして好きでたまらないってご主人も大勢見てきましたよ。
でっかい穴があいているのに、それでもなお着ると言い張られるジャージ、それはそれで愛されてて素敵だしジャージも本望で嬉しいと思うわよ。
でももしそんなご主人がこれを読んでいるのなら、穴だらけのジャージ姿のあなたと結婚したかったわけじゃない、ということをぜひぜひ思い出していただきたい。穴があいたジャージを見つめる冷めきった奥さまの視線とため息、私はたくさん見てきましたからね…

さて、来年入会するかわからないジム通いならば、いっそ部屋着にしてしまうのはいかがでしょう

ジャージだけではなく、Tシャツやトレーナー、家で洗える素材のワンピースなんかも候補にいれてみませんか。
洗濯機のおしゃれ着コース、一回も使ったことないってつぶやきも聞こえますね。
洗剤を専用のおしゃれ着用洗剤に変えるだけで、いつもの洗濯の手間と変わらず簡単に洗えますよ。

ダラっと過ごす時間よりも、背筋も伸びて家でのエクササイズや家事に積極的に取り組みたくなったり、リモートワークだって、オシャレなワンピースを着てテンションの上がるマグカップにコーヒーを淹れれば、そこはもう家ではなくてサテライトオフィス!

Point3:売ったり譲ったりしてみる

衣類を手放すということは、平時の思い出やどこそこに着ていこうという希望まで手放すようで、思い悩みがち。

買った時はテンション高かったじゃない。
でも自分の中では旬が過ぎてる。
まだそんなに着てないしもったいないよ。

そんな葛藤にひとつアドバイスをするなら、
『誰かの中では旬かもしれない!着たい人が日本に一人くらいいるかも!』

メルカリでも、ジモティーでも、まとめて引き取ってくれる業者でもいい。
売れそうな人気の商品、高価な商品は「過去に売れてるかな?売れたとしたらいくらくらいかな?」と、まずは検索・リサーチしてみましょう。

そんな時間がない?
ツイッターや動画やゲームに心当たりは?
1日とはいいません。一晩だけお休みしましょうよ。
時間は作れるっていいますもん。

Point4:着ないサイズはまるっと別保管

身も蓋もない話なんだけども、着れなくなった服にうんうん唸って頭を悩ますくらいなら、いっそ着れるようになっちゃえばいいんです。

そうしたいけど無理?
何度もダイエットに挫折してきた?
チラシだけもらってきて終わるトレーニングジムに心当たりがありすぎる?

わかるぅ〜
ダイエット無理ぃ〜わかりすぎるぅ〜
ジム行くの慣れるまで面倒よね〜
子供寝かしつけて一緒に寝ちゃうからジム入会してもなかなかい〜け〜な〜い〜

って私の心のIKKOさんが叫んでる。
あくまで口調だけですよ。美に関して熱心に取り組んでいらっしゃるし、挫折だらけの私とは違うので。

やってみればいい。
もしもやってダメなら、その時のタイミングでは自分に合った方法じゃなかったんだってことはわかるから。
他の方法をトライすればいいだけ。

もしもスペースが余っているなら、サイズ的に危ういけれど着たい衣類だけを箱にまとめちゃいましょう。
透明なケースに入れて中身が見えるならベター。
目標体重や目標体脂肪率、期限を書いて貼るならベスト。

そして、期限までに全くシェイプアップできなければ…その時はスッパリ手放せばいいんです。
その時はぜひ、心の中はテンション高めの川平慈英ボイスで。

手放していぃいーーんです!!!


さて、片付けのご依頼先々、これはもう着れないわというコロナ太りの悲鳴をよそに、ワンピースたちは私の3年分の体型の変化にもかかわらず、ウエストは問題なく来年も着れそうと安堵しています。

というのも、私のよそ行きのほとんどがゆるっとしたシルエットのワンピース。
なぜならウエストがタイトなスカートやワンピースは、ケーキバイキングや紅茶何杯もいただくアフタヌーンティの敵だから!

いやぁ、理由が食い意地。食欲の秋とはいえ、これがオチでなんとも申し訳ない。

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