こどもの片付け #1 – 子供のために片付けたいあなたへ

今、あなたの家のリビングが散らかっていて、子どもがまったく片付けられないと悩んでいても、もし私に相談をしてくれるのなら、全く気にしなくてもよいです。

私は多くの家庭を見てきましたし、どんな風に育てば片付けられるのかも知っています。
片付けられた環境から、片付けができる人が育つとは限らないことも知っています。

毎日寸分の狂いもなく自分の部屋が整っていたとしても、お手伝いさんが全て整えてくれるような環境に育てば、片付けに対しての興味が湧かないかぎり、思考停止して片付けのスキルはいつまでたってもゼロです。

片付けに「完璧」など存在しません
片付けに「正解」も存在しません
その時の、その家庭、その暮らしに合った「最適」を見つけ、「満足」と思える程度に片付ければよいのです。

その「最適」も「満足」も人によって違います。
特に「最適」は見つけるのが難しく、時にプロのアドバイスをもらう方が近道です。

「満足」は個人の尺度に基づくものなので、一人暮らしや実家の自室ならば自身の尺度で、家族で暮らしているのなら家族の尺度が折り合う地点までもっていけばいいのです。(ただし、家族の尺度というのがこれまた一癖あることが多いのですが)

子供部屋から手をつけるのはおやめなさいな

もしも、あなたが他の部屋には満足していて、子供部屋だけひどく…誰の目から見てもその部屋だけ散らかっているというのなら、子供部屋の片付けをプロに依頼してもいいでしょう。

けれども、もし他の部屋に心当たりがある…キッチンや、寝室や、リビング、納戸になってしまっている一室がひどく散らかっているのなら、その部屋から手をつけなければなりません。

必ず、です。

「ママのクローゼットだってリビングだってとっても散らかっているのに、なんで私の部屋からなの?」

と、核心を突かれた時、どんなまともな返答ができるでしょうか?
ぐうの音も出ない母親の姿を私はたくさん見てきました。
だから私は子供の耳にささやくのです。

「ママが焦るくらい綺麗な部屋しちゃおっか」

さて、あなたは子供を焦らせたいですか?それとも自分を焦らせるのが好きなタイプですか?
おいつめられる方が片付けが進む…という後者ならば、喜んで私は子供部屋から手をつけますが。

できればママは見ているだけで

三人寄れば文殊の知恵といますが、プロとママと子どもの三人の組み合わせなら、できればママには、リビングでコーヒーでも飲みながら美容ローラーをコロコロしてもらっていたいものです。

たいてい、子どもと私の方が作業はうまくいきます。
自分の意思がはっきりしてくる年中くらいからは、二人でも全く支障がなく進みます。
ママがいると「今まで私が言っても捨ててくれなかったアレ」とか「散々捨てる捨てないで揉めたソレ」みたいな話が出ます。

正直に申し上げると、私はその手の話を愚痴としてお伺いするのは一向にストレスにならない性分ですが、いっさい作業の参考にしていません。なぜなら、その時その瞬間のお子さんの気持ちの温度に沿って作業をするからです。

二週間前まで一番大切だったものが、今日は三番目になっていることは決して珍しくありません。
そして、捨てないと言い張った手前、親に素直になれないのなんて私たちも散々…思い出せば胃液が込み上げるほどに経験してきたことじゃないですか。

だから、第三者で自分に利害のないプロの意見は、子どもにとっても採用してもらいやすいという特徴があります。

そのうえで、もういらないと言われたものを先々の後悔がないかどうかや保管スペースまで考えながら、バランスを取って仕上げていくのが私たちプロの仕事なんです。

モノよりも気持ちを見ることが大切

子どもとのかたづけで一番大切なのは「モノと子どもが繋がっている糸を見る」ことです。

運命の赤い糸、なんていいますよね。
縦の糸はあなた、横の糸は私…うん、いい歌詞だ。
モノとひととの間にどんな色の、どんな手触りの、どんな太さの糸が繋がっているかを、私は見ています。

大人のように「要不要」なんて割り切れる言葉ではない、もっと複雑で言葉にしてくれない「糸」が、子供の部屋にあるありとあらゆるものと本人の間に繋がっています。
それは時にしっかりと結えられていて、思わぬところで既に切れている糸もあります。
時に、糸が古くなっていることに気づいていないこともあるので、それを伝えるのも私たちプロの仕事です。

ハサミを持って仁王立ちし、ブチブチと糸を片っぱしから切ってごらんなさい。
それこそ、二度とあなたは子供部屋のものを触らせてもらえないか、一生そのことを恨まれることになりますよ。

だから、子供の側から自分で糸を解く方法を伝えられるプロに任せる方が、万事上手くいくのです。

とはいっても、一度でうまく解ける子供もいれば、何度も何度も繰り返していかないと体が覚えてくれない子供もいます。
これは大人でも同じでしょう?

習慣化するには繰り返しが大切です。
衣替えや年度の変わり目にプロと一緒に片付けていけば、親は片付けが苦手でも、子どもは苦にしないようになりますよ。

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